鎌倉 常若-tokowaka-プロジェクトを終え、この「常若」というキーワードから瓦再考。
日本はいにしえより常若思想の国である。
常若:いつまでも若々しいこと。またその様。
「瓦」は約1400年前に仏教の伝来と共に日本に伝わり、広く民家の屋根に葺かれだすのは江戸時代に入ってからであるが、昭和の前期まで日本にはまだまだ茅葺きも多く残っていた。
この茅葺きの屋根を瓦が淘汰したように思われるが、淘汰ではなく新しい選択肢として共存してきたのだ。
では、この瓦が今後新建材に淘汰されるのかというとそうはならないと思う。
なぜなら、それらは致命的に短命素材であり、1000年以上確かに持続してきた茅や瓦のような長命素材とは物差しのスケールが違いすぎる。
1300年以上の長きにわたり原則20年ごとに執り行われている伊勢神宮の式年遷宮は、常若思想のもと神様は常に新しい神殿でお迎えしなければならないという発想から、古くなったものを作り替えて常に若々しくして永遠を保つため造営を繰り返す。
この“直せる”という素材と構法のおかげで永遠に持続し、また常に新しく蘇らせることができる。
そしてその都度採用されるのが本当の意味での“新建材”であり、現在のいわゆる新建材とは“継続”を実現しない単なる消耗品である。
不確かな世の中においては、こうした確かに長く続いてきたものの声に耳を傾け、謙虚に教えを乞うことが大切だ。
今もっとも信頼できる“有識者”は、永い時を乗り越えてきた先人の叡智の結晶である“歴史”だと思う。
カワラのカタチはカワラぬカタチ…
いついつまでも美しい“常若”を実現しうる普遍的で秀逸なデザインである。
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