重伝建地区の屋根改修にともなう棟冠瓦の復元です。
伝統意匠として島の集落ほぼすべての屋根に乗る七寸角桟冠…実物をもとに採寸、収縮率の計算をもとに“コの字型”に近いアールで押し出す口金を作りました。
サイズが大きいため、押し出してすぐ潰れないよう粘土の硬さにも配慮しつつ一枚ずつ切断。
それを石膏型にのせて叩き、輪郭を癖づけます。
角桟部分は、櫛で引き目をつける“かき破りと”いう伝統技法で胴体と癒着接合させます。
粗磨きして型からはずし、乾燥収縮の過程で土の動きを見定めながら行儀を仕上げ、ある程度土が締まってから本磨き…そのまま完全乾燥させてようやく完成です。
大きい冠瓦なので、焼成において焼きねじれや収縮率の個体差等、まだまだ高いハードルが残ります。
100年続く物語と景を、また100年続かしめるには、こうした手間のかかる手仕事が支えています。