未来考房/瓦人 ~gajin~

和瓦とその未来を創る淡路島の瓦師ブログ

[ 屋根再考 ]

先日の堀部安嗣建築設計事務所での瓦レクチャーの際、堀部さんがおっしゃった一言が心に残る。

「道上君たち瓦の作り手が、こうして毎日毎日、何年何十年と、軒と破風の出寸法を取るべき、適度な屋根勾配を取るべき、素材を見直すべき…と、メッセージを発信し続けることについて、そんな大事なことは本来僕たち設計者が伝えるべきことであって、作り手達にさせるべきじゃないんだよね。設計者が本当に優れている価値から目を背けていること自体ダメなんだよ。建築はファッションじゃないんだから。」

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「山」に降った雨が、「谷」を流れる。

山に落ちた雨を谷へと流す…風景にあって当たり前に描かれる、その自然の摂理にかなった機能美をまさしく体現する和瓦は、これ以上も以下もない白銀比を構成する普遍的デザインとして完成し約350年が経つ。

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構造的にも機能的にも屋根はもっと主役であるべきで、その連続が日本らしい風景を創る。

また“傘”は勾配があるから傘としての役割を果たすのであり、平らだと傘にならず、また“かぶり”(軒・破風の出寸法)が大きいほど体は濡れない。

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高温多湿で多雨な日本では、和傘のようにシルエットが美しい、屋根が主役の家が増えるべきである。

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堀部さんの事務所でのレクチャーのあとの懇親会でも、22時過ぎまで所員の皆さんとの瓦談義は続いた!

こうして“まず瓦ありき”な設計事務所がある限り、僕らはそれを励みに日本風景の必需品である「瓦」を失ってしまわないようもっと精進しないといけない(^^)

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