未来考房/瓦人 ~gajin~

和瓦とその未来を創る淡路島の瓦師ブログ

かわらない、ということ…

「いぶし瓦と銀古美の違いについて、どこがどう違うのでしょうか?」

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春に向けての計画で設計事務所からの相談が年明けから毎週続く。

僕の発信力と熱量が足りないのか、“いぶし瓦”と“銀古美”の違いについてまだまだ伝わっていない(笑)

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[いぶし瓦]

焼成後に“燻す”という工程をもって、金属的なまでに美しいいぶし銀の表面質感を生みだし、空の色をそのまま映すほど透き通るように晴れやかな瓦。いぶし銀の根拠は塗装などではなく、高度にコーティングされた炭素膜である。

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[銀古美]

いぶし瓦よりも高温で焼成後、“還元”という特殊な工程をもって寂び感ある古彩色に仕上げ、一枚一枚に自然な濃淡があり、土もの・焼き物らしい素朴な質感が魅力で、傷も付きにくく将来的に突飛な変色現象もない堅牢な瓦。

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設計相談はこの“銀古美”ばかりになってきているのは、やはり建材にナチュラルな素材感が求められている証し。

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「木の家」「自然素材の家」を標榜していても屋根は残念ながら自然素材ではない家がほとんどだ。

理想はそこら辺にある素材で建て、やがてその土地に還る…まるでその土地から生えたような瓦屋根の建築。

素っ気なさの中にも琴線に触れるような美しさを纏う建築であり、生命力のないまるで“装置”のような建築では決してない。

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能登の災害による考察でまだ瓦屋根への偏見を散見するが、いろんな“無理”と“負荷”のかかるものより、100年後だろうがきちんと“直せる”という揺るぎない実績のある、こんな素朴な素材の素朴な佇まいがやはり好きだ(^^)

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