未来考房/瓦人 ~gajin~

和瓦とその未来を創る淡路島の瓦師ブログ

切落と面取の違い…分かりますか?

それにしても雨の多い8月だった⤵︎⤵︎⤵︎

この日も本降り…おかげで“雨の道”を追えた。

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同じ桟瓦でも“面取”よりこの“切落”のほうが構造的に“水の切れ”が良い。

自然の営みと先人の知恵は、こんな些細な現象においてさえ、あまりにも多くのことを教えてくれる!

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面取(めんとり)と切落(きりおち)…和瓦のこの決定的な二大意匠の違いを知っている設計者はどれぐらいいるだろう。

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本来は、もともとこの国に瓦が伝来した1,400年以上前から本平瓦も同じく“切落”にはじまり、新しい意匠的選択肢として“面取”が生まれ、戦後成長期の工業製品化と特に陶器瓦の大量産化が進むにつれ、歩留まりの良い“面取”のほうが全国的に普及判となった。

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“銀古美”においては、もちろん原点である切落意匠のみとしており、玄人にしか分からないかもしれないが、レトロかつモダンな印象をつくり、面として素朴でシンプルな空気感を纏う。

かたや面取は、面を取った部分が陽光を反射して白く光り、切落より繊細な表情で魅せるため数奇屋建築などに似合う。


木瓦はもちろん“切落”意匠だ(^^)

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好みにもよるが、本来は社寺や数奇屋、蔵、茶室など例えば建築意匠の違いにより重厚(切落) or 繊細(面取)のどちらで魅せるかによって使い分けたり、また地域によって根付いた歴史的・文化的背景の差で違ったりする。

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文化財建築や伝建地区の古建築等の改修や建て替えで、元は切落なのに安易に面取が葺かれているのを見ると残念だ。

“モノ”にはその生い立ちや成り立ちにおいて深い意味がある…たかが一枚の瓦においてさえ、それを掘り下げて知ることで、もっと良い建築になると思う(^^)

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#淡路島の家 #井上久実設計室 #建築家とつくる家 #銀古美