それにしても、津々浦々日本の住宅建築は猫も杓子もガルバリウムを代表とする金属の屋根ばかりになってしまった!
素材としての質感やエイジングの美しさでいうと当然物足りないが、絶対的な予算の問題、構造的な必然性、またはデザイン面での柔軟性…など、様々な理由がある。
文化財や国宝、社寺、伝建地区などの建築は別として、いま和瓦を採用する必然性がないのが問題。
この“必然性”を創る仕事が大切。
日本の建築景観の魅力のなさは、その固有の歴史・伝統・民族性・精神性…をベースにして本来具わるべき“美意識”の完全なる欠落が原因。
文化立国たるべき重要な三術のうち、学術・技術を優先し過ぎ、芸術を置き去りにしてしまった弊害は、住宅行政だけにとどまらずとてつもなく大きい!
大工、左官はじめ、歴史と伝統とリアルな経験値に基づき五感全部で素材を知り尽くした家づくりのプロフェッショナルが、絶対的に“こうあるべき”という家づくりが今叶わないという大いなる矛盾に満ちている。
瓦師と瓦葺き師が絶対的に”屋根は瓦たるべき“といくら思えど、それが実現しないのは何故か?
やはりいま必然性がない。
三術の備わった“日本的美しさ”というものを建築に取り戻したい。
そこには佇まい美しい和瓦屋根が、一つの”必然“の選択肢として土俵にあがる機会が増えるはず!
衣食住すべてにおいてミニマムな志向が主流となり、家族構成や暮らし方、人生観をベースにした将来展望も含め、シンプルでナチュラルかつ質素、しかしセンシティブで物語とコンセプトに溢れ、時宜を得た“自分”を表現できる一つの洗練されたファッションとしての住宅(暮らし方)の在り方が求められるなか、小さくとも凛とした佇まいで魅せ、エイジングが美しく、圧倒的な耐久性をもって環境負荷も小さい、瓦屋根の家が増えればいいと思う。
日本の家も人も景観も、something else(大いなるもの)の意思と摂理に従い本来もっと美しくあるはず…“必然性”は言い換えればあるべき“自然”の姿へと還るだけのような気がする。
難しいことを書きましたが、大きくても小さくてもシンプルに“美しい”と思える、現代感性の琴線に触れる仕様やデザインの瓦と屋根を創っていきたい。
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