3年前放送のNHK総合「J−Trip Plan」
今や年間1,300万人もが訪れる日本有数の観光地であるここ淡路島を外国人の目線でチェックする番組だったが、現在は急進過ぎると感じるほどの積極投資が続き、例えば海岸沿いの土地は奪い合いの様相だ!
ホテル、グランピング、飲食店…それはもう目まぐるしく風景が変貌しつつある。
身近では、この瓦の町に点在する廃工場が一瞬で解体され、宇宙ステーションのような物体(笑)が次々降臨する。
保守的ではないつもりだが、地方創生という大義名分の影で自身およそ50年見慣れた原風景が失われていくことに寂びさも覚える。
新たに生まれ立ち並ぶ建築はまず土着感はゼロ…風景どころか、その土地で綴られてきた数百年に及ぶ歴史や物語の系譜を、その残像と記憶を跡形も残さず断絶する。
この本来定量化できない価値をかけがえのないものとし、帰属意識や郷土愛の源泉として暗黙で共有しあってきた人々にとっては青天の霹靂…まさしく思考の猶予も与えられず魔法にかかけられたような速さでの風景の変わり様だ!
それは、その土地の“かけがえのないもの”に対する敬意と継承を目的として100年後も途切れぬ“風土”を創るためではなく、素材・構法・意匠を見ても単なる商売のためだけの建築がほとんどだ。
なかには地場産業である「瓦」の可能性に大いにチャレンジしていただくプロジェクトも多く、アイコニックな建築として“新しき良き”風景を創る。
今、残念ながら瓦を使う絶対的な必然性はないが、モノとしてもコトとしても確かに実績のある長命コンテンツを活かした“100年の計”で臨む持続的地方創生が理想だ!
願わくば…10年後に“寂び”ではなく“錆び”た鉄の箱だけが残されたゴーストタウンにだけにはならないよう祈りたい。
#地方創生 #淡路島