今朝6時…“銀古美”の焼成温度が1,000℃を超える。
通常、淡路瓦の平均焼成温度はパーツによるが約980〜1,000℃。
鉄分含有量の多い淡路土はこれが焼き締まる適温。硬い柔らかいではなく、その土なりに十分に焼かれ、調湿と断熱効果を生む多孔質な組成を形成し、太平洋側や瀬戸内沿岸の温暖湿潤な日本の気候風土においてそのポテンシャルを最大限に発揮する。
逆に他産地の土は鉄分が少ないため1,000℃では生焼けとなるため1,100℃、1,200℃、1,300℃という温度で焼かなければ焼き締まらず、それぞれがその土に対しての“適温”であり、例えば淡路土を1,100℃や1,200℃を超えて焼成すると溶けて水飴のようになる。
硬い柔らかいではなく、その土なりに正直に焼き締まっているかどうか。
「銀古美」はこの適温である1,000℃を超えて淡路土に負荷をかけることで、ビンテージな質感と共に堅牢な瓦となる。
それぞれの土の“適温”を超えるこのほんの10℃、20℃の差というのは、焼きものでは異次元の世界に突入するほど難易度が高い。
鉄分含有量の差は素焼きすれば一目瞭然…沖縄の赤瓦のように朱色が濃いほど鉄分が多く、少ないほどオレンジ〜ベージュと白くなる。
欧州でも地中海沿岸など広く南欧を見渡すと赤い瓦が多く、北欧へ行くほど黄色や白っぽい瓦になり、さらに北上すると瓦ではなく石や木の屋根になる。
「その土地の土を焼くと、その土地の風景の色をつくる」
瓦の色と形はその国その土地のセンサーであり、アイデンティティであり…気温、湿度、日射の強さ、冬の寒さ、風の強さ、雨の量などその場所を構成するパラメータの全てが瓦というもので可視化される。
こうして世界の国々はその土地にしかない美しい風景を形成している。
はたして日本の建築は、その土地の土を焼いた瓦でその土地にしかない風景を描けているか?
瓦をつくるものとして、そんな視点をもって風景を見つめてほしいと思いつつ…今日も風景の見渡せない工場の中で瓦づくりに励んでいる(笑)
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