とくに目立ったのは、薄型スレート系屋根材と金属系屋根材の大飛散による近隣建物や車両等の二次被害。
瓦と違い、単純にそれら屋根材は施工にあたり野地との隙間がほぼ無く、軒先から吹き込んだ雨水の毛細管現象等による逆流で広がる高含水状態の長期化、また構造上 通気しにくいがゆえの屋根材と野地の間の結露の滞留等が主原因による野地板腐朽の進行により、留め付けが効かなくなっている状態での強風被害で簡単に吹き飛んだと思われます!
他への間接被害は深刻なものであり、物的損壊はもちろん、人を襲えば命に関わる重大な危険を伴います!
紹介するデータは、つくば建築試験研究センターによる「木造住宅の耐久性向上に関わる建築外皮の構造・仕様とその評価に関する研究」。
ようは屋根材別 長期曝露試験による野地等の経年変化比較試験です。
曝露期間は30年超!結果、和瓦以外は明らかに下葺き材と野地の腐朽が見られます。
以下、研究論文より引用…
軒先付近の劣化は金属系屋根材で顕著。
特に,瓦棒葺きは軒先付近の心木直下の下地が劣化している。心木自体も軒先部が著しく劣化し、一部消失し ているものがあることや,心木下部に下葺き材が無いことから,桟鼻付近から雨水が浸入して劣化に至ったもの と考えられる。
またケラバ部からの漏水と屋根材同士の取合い部からの雨水侵入による影響も大きい!
現在、金属やスレート系屋根材の普及が多いが、結局は同様の構造なので、経年で野地板が腐朽するリスクを抱えています。
この理由により、今回の台風被害による軽量屋根材の大飛散、さらには軽さが裏目に出た屋根ごと全部の飛散が多く発生したと思われます!
和瓦ならば、特に古い屋根において落ちたりズレたりこそすれ、竜巻でも起きない限り、映像であったように風に舞うように飛んだりしません。
これは空気力学的見地からも根拠があり、山あり谷ありの形状が飛散を抑制し、平たく面積の大きいものほど風圧の影響を受けます!
太陽光発電パネルなどなおさら!
先人の叡智とその積み重ねが紡ぐ1,000年余に及ぶ瓦の歴史とは改めて素晴らしいものであります。
地震による瓦の重さへの風評被害は依然続きますが、日本は地震よりも台風こそ毎年必ず複数来襲します!
一刻も早く“軽く薄っぺらい“考え方を見直し、強靭な足腰で地に足つけた仕切り直しが必要な時です!