未来考房/瓦人 ~gajin~

和瓦とその未来を創る淡路島の瓦師ブログ

2023-01-01から1ヶ月間の記事一覧

甃(しきがわら)の名の通り…

銀古美の本瓦葺きが終わった東林院 弥勒堂では、同じく銀古美の甃(しきがわら)を施工中。 内外で3,000枚…この面積スケールだと、また焼きものらしく“不均一”な美しい景色が描かれそうだ! 四季折々の山の色、朝夕晴雨で変化する光の色…「甃」という漢字の成…

強さは美しさ…

香川 天竜杉の合掌づくり…熨斗積みも無事仕上がり、矩勾配の瓦屋根が完工。 年末に窯の熱で速乾させて間に合わせた“素丸止め瓦”も、その凛とした表情で棟端部を引き締めてくれた! この大きな切妻屋根を支える木組はもちろん堅牢だが、素材のチカラと手刻み…

日曜随想…

3年前放送のNHK総合「J−Trip Plan」 今や年間1,300万人もが訪れる日本有数の観光地であるここ淡路島を外国人の目線でチェックする番組だったが、現在は急進過ぎると感じるほどの積極投資が続き、例えば海岸沿いの土地は奪い合いの様相だ! ホテル、グランピ…

五右衛門風呂!?

銀古美の窯出しから… なにやら巨大な物体が2つ鎮座しています! 五右衛門風呂ではないよ(^^) あ!この際、五右衛門風呂でもイイかも(笑) さて…これは一体なに!? size(cm) /W:55×D:42×H:35 とにかく亀裂一つなく無事に焼きあがってよかった!! やれやれ、…

ArchiCafe vol.44『本歌取り』

昨夜は久しぶりのアーキカフェ… 夜な夜な建築家達が集まり、毎回テーマについて絶対的な正解を求めず自由議論することを醍醐味とする集まり。 [本歌取り] 有名な古歌(本歌)の1句もしくは2句を取り入れて作歌を行う方法。 主に“本歌を背景として”用いること…

「木瓦」が描く460㎡の海原…

14,000枚の木瓦が屋根を覆う、今春オープン予定の淡路島の公共施設。 瓦の屋根は昔から“波”に例えられるが、木瓦はもっと広くさざなみが連続する穏やかな“海原”のようだ! 千枚千様リズミカルに表情を変えつつ風景とシンクロし、460㎡の小さな海は大きな海と…

不幸中の幸い…!?

昨夜の暴風は想像を絶するものだった! 淡路島の西海岸は遮るものがないので台風どころではなく…停電だけで済んでよかったと思いきや、今朝工場に出てくると乾燥路のダクトが吹っ飛んでた(*_*) おそらく夜間だったので、車や人の往来がほとんどなかったこと…

忖度なし(笑)

東林院 弥勒堂新築プロジェクトもようやく足場が外れた! “銀古美”の焼成術で焼いた本瓦葺きの屋根は、真っさらであって、もはや永い年月をかけて大気と日光の営みによって造りだされた”寂び“の力を宿したように千枚千様の表情で魅せる。 境内にいたおばちゃ…

目指すは桂離宮?

「木瓦」の屋根が完成した淡路島プロジェクトのワンカット… 以前GAで見た隈研吾建築都市設計事務所による京都の仕事と比べ、平部の表現力は決して負けていないと思う(笑) ただ寄棟や入母屋の隅棟は、やはり輪郭をシンプルに仕上げる方が上策か! 桂離宮の柿…

仕来り…

尾道 因島の神社改修工事で、火入れ式に始まり神楽殿、社務所、祝詞殿と3棟の瓦葺きも年末に無事終わり、今日完了式にお声がけいただいた! 島の“仕来り”は人情に溢れ、いついつまでも変わらぬ昔ながらの空気に包まれ心地良い^^ 神社は祭りも含めて地域の人…

淡路島「宝生寺」本堂・客殿新築プロジェクト

細部の瓦割りに来ました! 年末に焼きあがった三尺露盤が坐る方形の本堂は本葺き、客殿は和形で葺くが、客殿の起り(むくり)の曲線が流麗で美しい! 唐破風は、解体した古寺のものを丁寧な継ぎ木で再利用し、さり気なく“本当の意味“での持続可能な素材と技術…

「広島の家」新建築住宅特集 掲載

堀部さんから竣工写真をいただきました! 雨景なので銀古美特有の“寂び”の景色は薄れているが、雨に濡れた瓦屋根はなによりも色気がある。 四方から目隠しになる中庭は街中にあって一つの豊かな風景をつくり、朝夕晴雨・四季折々で描く彩りに瓦屋根が映える……

失われた30年…

瓦業界の運命を決定づけるような出来事から28年…それまでは瓦屋根に対してそれほどマイナスイメージもなかったように思うが、あの出来事を境に数値だけで見ると、例えば淡路瓦全体では総生産枚数も総出荷金額も共に10分の1以下にまで減少し、このコロナ禍の3…

「これからの住まいを考える」

JIA四国支部徳島地域会からのご案内。↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓建築家 堀部安嗣さんをお迎えして、「これからの住まいを考える」というテーマでのご講演が予定されています。 瓦も含め伝統的素材にとても理解のある堀部さんのお話にはいつも勇気づけられます。ぜひ多くの…

大切なものを包む瓦…

今日の古彩色瓦“銀古美”の窯出しから… 熨斗(のし)瓦を一枚一枚目で見て、感も活かしながら、反りや起り(むくり)の行儀を選別。 ここで問題…[熨斗]の意味って知ってますか? 熨斗(熨斗鮑)とは、もともとはあわび貝を薄くのして干したもので生ものの象徴であ…

目の保養…

竹、土、瓦、木、漆喰 建築の“築”の字を構成する素材たちは美しい。 それら素材で構成される風景はさらに美しい。 [持続可能]とは、これら100年と風雪に耐え、確かに持続してきたもののことをいう。 目の保養になるような瓦屋根建築を残していきたい。 目…

〜やね 時々 うつわ〜

土曜日の窯出しから… 銀古美の瓦たちに混じって、円柱形の高台皿が無事に焼きあがった! 高さ80×径130㎜、天端は5㎜程度凹仕上げ。 2月オープンの東京の料理店へ届ける。 寂びの美しい日本色に料理の彩りが映える。 それは一つの風景であり、海山の緑、土、…

まずは“素材”からスタートだ!

雨の中、圧倒的な土景に向き合う設計チームの姿からは、情熱大陸のテーマ曲が流れてきそうでした(^^) とても素敵なプロジェクトの打合せ… 軒、棟…と各部多様な瓦の納まり検討が続き、和瓦には歴史的に実績のある正解はあるが、未知の新しい正解を創っていく…

長持ちする建築的理由…

淡路島の家…瓦葺きが完工! キュートなプロポーションだがガルバリウムなど載せず、“銀古美”による本気の屋根づくりは瓦の島である淡路島の流儀(^^) 建築家 堀部さんの言葉を借りれば、“長持ちする建築的理由”を考えると必然的に優先一択となる瓦屋根が性能…

東林院 弥勒堂新築プロジェクト「甃」

なんとか約3,000枚の甃(しきがわら)の梱包が完了…屋根が終わり来週から内外土間の敷き瓦の工事が始まる。 銀古美[ 甃 −shikigawara− ] 土を敷く、地べたに横たわる…そんな“土間”という名に見合う、土を焼いただけの素朴な質感の甃は、薄墨、銀鼠、灰青…と…

言語表現

淡路島の家 ~ 銀古美 ~ 桟瓦だけの葺き晒しに瓦屋根の美しさの本質を見出し、最低限の言語で表現した屋根。 *ガルバリウムなどよりよほど格好良く美しいと思うのは瓦師の独り言(笑) 「銀古美」という瓦は新しいのに素朴で懐かしく、永い年月をかけて大気と…

− kawara putter project −

2023年最初のオーダーは、共にいぶし銀の“本鬼面”と“古代鬼面”でした。 ロフト角3度に削り、鏡面状に研磨したフェイス面は光沢感抜群! “本鬼面”タイプは久しぶりの依頼… 古代鬼面とは違い、立体感のあるいわゆる“鬼らしい”表情は、かえって一般の人にとって…

ノーベル賞級の大発明だと思う−repost−

持続可能性を模索するより、確かに持続してきたものに今教えを乞おう。 瓦屋根は、この裏面の通気層の存在がなによりも優れている。1,400年の歴史ある本瓦葺きは言うまでもなく、それをアップデートし先人が生み出したこの350年続く普遍的なカタチはプロダク…

[ 木瓦スタディ ]

“瓦の起源”を史実に持つヨーロッパや中国には、数千年を経ても変わらず魅力的な瓦屋根建築が多く、その永く続く伝統建築デザインは素材共々生命力に満ち溢れ実に美しい! こうした世界の瓦づくりを見ると、日本においても「瓦」は規格や精度で雁字搦めな工業…

”めでたい“かどうか…

幸先の良いことに、日本屋根経済新聞 新春特別号の表紙に「木瓦」を葺いた香川 四国村“わら家”を掲載いただいた! 「茅葺きと木瓦の素敵な関係」はやはり絵になる。 ついでに木、土壁、茅、瓦、漆喰…といった地球由来の素材のせいか、またはそれら組合せによ…

瓦の町のマンホール蓋は鬼瓦だ!

年に3度しかない“連休”…普段歩かない地元の地道を地に足つけてゆっくり歩くと、普段は見過ごす景色と出会う。 あやふやな記憶の解像度を上げる… たまには下を向いて歩こう〜!(^^) #マンホール #マンホールの蓋 #ご当地マンホール #下を向いて歩こう #路上の…

新建築 住宅特集 2013年1月号

喪中につき諸々控えめな元旦… 先ほど賀状より早く届いた新建築 住宅特集に、“銀古美”で施工いただいた堀部さん設計の広島の家が掲載されています! 瓦の世界は大量生産・工業製品化し過ぎたおかげで、建築例において“作り手の顔”などまず触れられもしないの…