仕事人としての苦楽や地域に対する想いなどを話し、高校生が将来の生き方や職業観について考える機会になることを目指したプログラム。
(*写真は以前のインタビュー風景)
今年の質問事項にガチで答えた瓦師でした(^^)
*なかでも【他に就きたかった仕事】 は、大学時代リアルに某テレビ局の最終面接で落ちました(笑)
ーーーーーーーーーーーーーーー
【インタビュー対象】
職業:瓦製造業
勤続年数:20年
他職種の経験有無:大学を卒業し、損害保険会社に5年間務める
【一日の仕事の流れ】
5時 起床
6時 出社、工場始動
12時〜13時 昼食、休憩
17時 工場終業
17時〜 見積り、事務処理等
【仕事の内容について】
屋根瓦の製造・販売、および壁や床のタイル、生活雑貨など屋根以外の瓦の製造・販売。
【やりがい】
つくったもの(瓦、屋根、建築)が50年、100年と長く残ることと、日本全国津々浦々その土地らしい風景をつくることに貢献でき、またそれを通して日本の伝統や文化を守ることにつながる。
【仕事の苦労】
淡路島で採掘する天然の土のみを使って製造するため、原料のコントロールが難しく、焼き物であるがゆえのねじれや歪み、寸法差が生じ、同じ設備、製造方法で作っても、毎回同じものができないという苦労がある。
そのため伝統産業なりにアナログにデータを蓄積し、土の粘度の差や、季節、気温、湿度に応じて微妙に製造・焼成方法を調整するなどして、できるだけ歩留まりを低く抑える努力をしている。
【仕事を選んだきっかけ】
3代続く窯元であり、後継者として就業。
【仕事を始める前の印象】
子供の頃から見ている限りは、景気も良く出荷も好調で、淡路島を代表する産業である事に誇りを持っていた。
しかし阪神大震災以降は右肩下がりとなるが、大学卒業後に大企業で勤めてきた経験をもとに客観的に見る限りは、景気やニーズの変化のせいというよりは、伝統産業であるがゆえの閉鎖性と保守性が邪魔をして発展途上な面が多く、まだまだできていないことが多いため逆に可能性に満ちていると感じた。
【実際に働いてみた印象】
基本的には肉体労働であるため、体力的には大変な面も多いが、この国で1400年も続く“土を焼く“という原初的であってシンプルかつ普遍的な行為が、ものづくりの醍醐味に満ちており、仕事を通して日々楽しく勉強させていただいている。
【仕事に必要な知識・資格・技術】
伝統産業としての歴史、変遷など先人の仕事を知ることが大切。
運転免許証があれば特別な資格は必要なし。
尺貫法による数値を覚える。
ジャパンブランドとして世界に発信し、また商圏として広めるため外国語の習得も必要。
【仕事に向く人】
心身共に健康的な人
男女問わずものづくりが好きな人
手仕事が好きな人
好奇心旺盛な人
歴史や伝統に理解や興味がある人
【高校生で身に付ける力】
持続力、集中力、幼少時代のような純粋な好奇心を取り戻す、健全な心身の鍛錬、広い視野と狭い視野、グローバルな視野・視点をもってローカルな価値を俯瞰できる力
【他に就きたかった仕事】
テレビ局アナウンサー(笑)
【これから取り組みたい仕事】
現代のニーズに適うよう、伝統産業として構法や性能、意匠のさらなる進化を実現し、ほんの100年ほど前までがそうであったように、日本中の建築に瓦屋根を取り戻したい。
そして屋根と屋根が折り重なるような美しい日本の風景を創り、その屋並みのもとにある同じく折り重なる人の関係と、今希薄になってしまった繋がりの深い豊かな地域コミュニティーをつくりたい。
ーーーーーーーーー
#職業人インタビュー #仕事人インタビュー